2020.03.24

2019年を振り返る

今年度もあと少し。2019年度に会津美里町で行われたまちづくりの取り組みをダイジェストで紹介します。

「せと市」に合わせてマルシェを実験的開催

毎年8月に本郷地区で開催される「会津本郷せと市(以下:せと市)」の会場となる瀬戸町通り。今、どんな人たちが会津美里町に訪れているのかを検証するべく、本郷地区が最も賑わう「せと市」の日(2019年は8月4日)に合わせて実証実験を行いました。

 


(写真提供:こらんしょwoman)

仕掛け人は、会津美里町が大好きなまちの方たちとまちづくりのプロで構成したグループです。会津美里町を愛する女性たちの有志グループ「会津美里こらんしょwoman」の協力のもと、瀬戸町通りのタバコ屋跡と隣の公園を「こらんしょマルシェ」の会場として活用し、ハンドメイドの雑貨の販売やタピオカドリンクなど計14店舗が出店。なんと1,000人以上が訪れ、会津美里町に訪れた人たちに直接出会い、声を聞くことができました。

まちづくりのプレイヤーから「まちやど」を学ぶ

2019年11月6日(水)には、会津美里町役場本庁舎じげんプラザ2階大会議室にて「まちの資源や魅力を見つけ、新たな地域のにぎわいをつくる」ことを目的としたセミナー『会津美里町魅力づくり勉強会』が開催されました。

 


(宮崎さんレクチャー資料から引用 提供:宮崎晃吉)

ゲストは、東京の下町で解体されそうになっていた1軒の古いアパートを舞台に新たな価値を生み出し、小さくても濃密で強力な引力を持ってファンを増やし続け、エリアの魅力を高める取り組みをされている建築家の宮崎晃吉(みやざき・みつよし)さん。東京の谷中で複合施設「HAGISO」や宿泊施設「hanare」を展開するまでの話を聞いて、会津美里町のこれからのまちづくりのヒントにつながる「まちやど」という考え方を学びました。

「再生した焼き物の産地」からヒントをもらう

さらにまちづくりのヒントを探すため、会津美里町の地域づくりに取り組むコアメンバーと行政職員は、2019年11月31日から2日間、ふたつの焼き物の産地へ視察に行きました。

1日目は、長崎県東彼杵郡波佐見町へ。年間100万人を超える人々が訪れ、焼き物をはじめとする地域資源や地元の人々を結ぶ「グリーンクラフトツーリズム」によるまちづくりを推進する波佐見町。今でこそ美濃焼や有田焼に続いて国内第3位の生産量を誇る一大産地ですが、かつては有田焼の名前で出荷され、その後、生産地表記が厳格化したためブランド力のある有田焼を名乗ることが許されなくなり、波佐見焼としてゼロからブランドをつくり直してきた歴史を持ちます。自らのアイデンティティを問い直し、地元の窯元の共通認識をすり合わせて「この土地ならでは」の商品を開発する。さらに地域ブランドを高めるために、実際に訪れてくれた人に地域の暮らしを体験できるプログラムを用意する。現地の事業者を巡りながら、逆境を乗り越えてきた過程と課題との向き合い方を学びました。

 


(撮影:『会津美里の日々』編集室)

2日目は、佐賀県嬉野市へ。地域の産業であるお茶や温泉、焼き物を結んで、あらたなパッケージで売り出す取り組みを始めた佐賀県嬉野市。ここで作陶される吉田焼も、また有田焼からの決別を余儀なくされた焼き物のひとつ。有田や波佐見と同じ「肥前窯業圏」にありながら、吉田という小さな磁器産地のアイデンティティに悩み、新たな可能性を模索してきました。ここでは、吉田焼がどのような過程でPRや企画を進め、産地への集客につなげることに成功したのか。波佐見焼とは異なるアプローチで地域と焼き物、そして観光資源を横軸でつなぐ施策について学びました。

 


(撮影:『会津美里の日々』編集室)

町に住む人たちがそれぞれのまちの日常が持つ魅力に再注目し、「まちの宝」として改めて誇りを持つため、町外から訪れる方には会津美里町ならではの暮らしを体験して、より多くの方々に「また帰ってきたい」と親しみを感じてもらうため、勉強会や視察を通じて会津美里町でのコンテンツ構想への足がかりを見つけた1年でした。

 

文:『会津美里の日々』編集室
サムネイル写真:会津美里こらんしょwoman(提供)

記事のシェアはこちらから!