【事業者向けセミナー】 「一歩遠くへ」「一日長く」の旅をつくる 開催レポート①
2021年11月17日(水)、観光・情報発信に関心のある事業者のみなさんに向けて、会津美里町ならではの「一歩遠くへ」「一日長く」の旅を生み出すきっかけづくりを一緒に考えることを目的としたオンラインセミナーを開催しました。その様子を2回のレポートに分けてお届けします。
登壇は、日本各地の観光計画にまつわるプロジェクトやツーリズム促進、メディア制作を行っているtarakusa株式会社の柿原優紀。
前半は、会津美里町内の地域事業者さんたちへのヒアリングから見えてきた現在感じられている課題の共有、コロナ禍で変化した観光動向についての振り返り、それらの解決やアクションのためのSNSの発信方法についてお届けします。
情報収集とSNS発信のコツ
集まったのは、会津美里町の地域おこし協力隊や観光協会事務局の職員、移住の支援と定住サポートを行う一般社団法人の代表、タクシー会社の代表、宿泊施設のオーナー、ワイナリー、窯元など、地元事業に勤務される方を中心に計14名。
(引用:たらくさ株式会社柿原レクチャースライドより)
まずは、会津美里町の観光の現状について、事前のヒアリングシートで事業者のみなさんから寄せられた声を一部紹介しながら、一緒に考えることに。
漠然とした不安を抱えている方が多く、特に情報収集や発信が苦手だと感じている方が多いという印象。では、どんなことから取り組めばいいのでしょうか。
例えば、柿原の情報収集方法を紹介すると、一番手軽に取り入れやすいのが、観光情報を取り扱うメディアのメールマガジンを購読すること。
「毎日たくさんのメディアに目を通して自分に必要な情報を見繕うのは大変ですが、メールマガジンであれば、要点を掴んで定期的に送ってきてくれるので、そこで気になった取り組みがあれば、その公式サイトや記事などを調べて読みます」
他にも、オンラインの無料セミナーやトークプログラムなどに参加したり、YouTubeで最新の制度の解説を聞いてみたり。最近ではFacebookにも観光をテーマにした3,000人規模のプライベートグループがあるので、そこで日々情報交換や意見交換をすることで情報をアップデートしているそう。
また、何か発信する前に、「何を叶えよう?」というのを具体化する時間を取ってみることも大事。例えば、これまでの仕事のなかで満足感が高かった状況を思い返し、どんな時が、不安なく順調だと感じられたか考えてみる。「たくさん人が来てくれてよかった」という満足感は、「人と出会える喜びがあったから」か「売上が十分にあがっていたから」なのか。きっと両方という方もいらっしゃると思いますが、「では、今の時代で、人数は少ないけどより深い体験やコミュニケーションを楽しめるプランは何か?」「人数は少ないけど、単価をあげて販売できるプランはどんなものか?」と段階を追って考え続けることで、これまでとは違う発信の打ち出し方が見えてくるはずです。
現状とコンテンツの再確認
新型コロナウイルス感染症拡大によって、観光産業はどのように変化しているのでしょうか?
「コロナ禍では、商品はオンライン販売の展開に移行したり、旅行もバーチャルツアーとしてオンラインで体験するツアーなどが多く生まれました。弊社でもオンラインツールを活用し、全国通訳案内士の方々に向けた日本酒のオンライン勉強会や、外国人旅行を専門に扱う旅行会社、鉄道会社等と提携したオンラインツアーを開催し、国内外からのたくさんの人が旅を楽しんでくれました。コロナでなくても、今後は有事の際にできることをシミュレーションしておくべきだと思います」
例えば、密を避けたプライベートプランとして注目を集めているのが、福島の会津・喜多方の「あいづタクシー」の「喜多方酒麺ツアー」。地域内のタクシー事業者と宿泊事業者、ラーメン店、酒蔵が連携し、小型タクシーにて宿泊付き巡回プランを実施しています。こちらは、販売は旅行業者と宿泊事業者。パッケージとして企画性を持って打ち出すことによって、地域内の連携によって、タクシー事業者等が旅行業を持たずとも収益アップを見込むことができます。
また、SNSの発信においても、「コンテンツ」や「パッケージ」を明確にして発信計画を立てる方が、目標達成の確率もスピードも高まるそう。意識すべきは、何気ない日常のネタと、商材を売るためのネタの投稿のバランスがちょうど良いかどうか。そのバランス次第でファンも増え、売上にも繋がります。
また、発信の先の誘導ルートをイメージするのもポイント。SNSで発信しながら興味を持ったお客さんからのリクエストをDMで受け付けるのか、ECサイトに誘導して買ってもらうのか、電話やFAXで受け付けるのか、お店で販売するのか、ルートをしっかりイメージして導線を敷く。情報発信の効果を感じないな、という方がいたら、この点を見直されてみると、何か改善点があるかもしれません。
ウィズコロナ、アフターコロナの発信
では、ウィズコロナとアフターコロナの発信で気をつけるべきポイントは?
「ウィズコロナについては、ワクチンやPCR検査もありますが、基本的な、体調管理をする、3密を避ける、換気をする、消毒する、ということを徹底しての運営であれば、地域の未来にも関わる経済活動ですから、ルール違反ではありません。指摘において、確かにと思うことがあれば改善すれば良いですし、しっかり対策をして、信念を持って変な声は相手にしないことだと思います」
ウィズコロナで新しい旅のスタイルとして注目を集めているのが、「マイクロツーリズム」。これは、自宅から1〜2時間程度の、いわば地元とも言える圏内で、地域の魅力を再発見しながら楽しむ旅行のこと。長距離移動を避けることで感染や拡散のリスクを減らせるという安心感があります。
アフターコロナでは、これまでの自粛生活をリフレッシュする、いつもより少し奮発した旅行が見込まれるそう。『リベンジ消費に関するアンケート調査*』では、ワクチン接種後に最もやりたいことの1位が「国内旅行」、2位「みんなで集まって会食」、3位「海外旅行」として、1位に国内旅行が挙げられています。
そして、2021年2月にはGo Toトラベルの再開も検討中。その時に備えて、旅行会社や予約サイトからパッケージとして打ち出せるように準備しておくのもひとつです。
それぞれの情報収集の方法を見つけ、叶えたいことを具体化してから発信する。旅の再開の時期がおよそ見えてきているこの段階で、「いつやる?」の目安にして目標を立てることで、情報発信のきっかけが生まれます。
文:『会津美里の日々』編集室
*2021年7月21日(水)~7月27日(火)にかけて18~69歳の男女1,502名に、インターネット上での意識調査「Tアンケート」より引用
【オススメの情報サイト】
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