2017.11.23

伝わる発信のために。役立つ文章テクニック

会津美里町情報発信人材育成の取り組みとして、「まちの発信をする人を増やす」ことを目指して開催するプロジェクト『会津美里町 まちの編集室』。

これまで、「ここにしかない魅力の伝え方」や「知っておきたい執筆と撮影のコツ」と題して発信の基本を紹介しましたが、第3回ワークショップはさらに実践篇へ。tarakusa株式会社の柿原が、より多くの相手に情報を伝えるために役立つ“いい発信”の方法を紹介。参加者は実際にまちにある魅力を表すキャッチコピーづくりにチャレンジしました。

“いい発信”ってなんだろう

 

そもそも、“いい発信”とはどういうものでしょうか?

「誤解を恐れずに言うと、“いい発信”とは表現力のある文章を書くことだけではありません。今、私たちが『まちの編集室』からしようとしている発信では、どれほど表現力に溢れているかということばかりではなく、むしろ、相手にちゃんと実用的な情報を届けることができているかを意識することが大切。例えば、オススメしたいまちのお店があれば、店名や場所も伝えたい。SNSの機能を有効に使って添えることもできます。すると、読み手の『ここに行ってみようかな』という気持ちが実際の行動に繋がりやすい。自分が『いいな』と思ったことを、できるだけ相手の『欲しい形』で届けるのが“いい発信”だと思います」

魅力や名前、場所、行き方、オススメの時期など、読む人が「知りたい」と思うことを添えて発信していく。そうすることで、読み手に発見、共感、納得などの心の動きが生まれると柿原は言います。ここでいう“いい発信”は、文学作品のような「鑑賞する文章」を書くことではありませんが、相手に伝わるのに役立つ「機能的な文章」と言えるはずです。

「ちょうどいい言葉」を使う

 

さらに文章のクオリティを高めるために柿原が紹介したのが、ものごとの魅力を表す言葉を徹底的に探すこと。

「例えば、テレビの番組でリポーターが『美味しい!』としかリアクションしていなかったら、視聴者は『どんなふうに美味しいの?』と気になりますよね。これまで食べてきたものとどう違うのか、食感はどんなふうなのか、似ているもので表すとなんなのか……。表現する言葉はいくらでもある。書いて、読み直して、違和感があったら使う言葉を変えてまた書き直す。それを根気強く繰り返すと、自分の内側にある『なんとも言えない感覚』とちょうどよくフィットする表現が見つかるはずです」

もしかすると、この作業をしている時は、先の見えない暗いトンネルをトボトボ歩いているようでとても苦しいかもしれない。けれど、そうやって見つけたちょうどいい言葉だけが、説得力を持ち、相手の心に触れることができるのだと言います。

そして、『まちの編集室』からの発信では、SNSとハッシュタグを有効活用。ハッシュタグを付けることによって投稿はそのキーワードごとにカテゴリー分けされるため、ハッシュタグ検索から、そのカテゴリーに興味のあるユーザーが投稿を見る可能性が高くなります。

例えば「#会津美里町」「#今日のご飯」というハッシュタグを付けて投稿すると、会津美里町のことを知らないユーザーも、「#今日のご飯」を通じて、あなたの投稿に辿りつくこともできるのです。

「ハッシュタグは、いわば共通の興味を持つ人に出会うための機能。英語で入れれば、海外の方にも会津美里町の魅力を知ってもらえるいい方法です」

このまちだから伝えたいこと

 

後半はいよいよ実践へ。第1回のワークショップで参加者が書き出した「会津美里で伝えたいもの」のなかから、「特に伝えたいと思うもの」をみんなで選び出します。

あるグループは、せと市、御田植祭、向井羽黒山城など、長年続く伝統行事や文化財にフォーカス。もうひとつのグループは、時報や高田梅、白鳥など、日常にあるものに目を向けていました。「どれも諦め難い……!」と悩む参加者たち。その顔は真剣そのものです。

気がつくと、「朝の4時から始まる!11の窯元で賑わう伝統のせと市」や「ウチの時報はAKB!?」など、つい目を留めてしまうようなコピーがたくさん生まれていました。

発信する時は、具体的な情報を入れながら「ちょうどいい」表現の言葉を見つけて書く。そうすれば、もっと多くの人に会津美里町の魅力を届けることができるはず。発信の時に、いつも思い出したいポイントです。

文:原山幸恵(tarakusa)

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