心に響くタイトルの付け方
会津美里町情報発信人材育成の取り組みとして、「発信をする人を増やす」ことを目的として開催しているプロジェクト『会津美里町 まちの編集室』。
第3回ワークショップでは、tarakusa株式会社の柿原が登壇して、これまで制作してきたメディアの事例をもとに、読み手に響くタイトルの付け方を紹介。参加者は、担当する誌面づくりへの取り組みに学びを活かします。
タイトルは最初の勝負どころ
そもそも、なぜタイトルは重要なのでしょうか?
「例えば本屋に行った時、面白そうなタイトルの本を見つけると、『あっ、これ、読んでみようかな』と、つい手に取ってしまうことってありますよね。逆に、つまらないタイトルなら読んでもらえません。タイトルは読者を引き込む仕掛けとしての大事な役割を持っているんです」
言わば、タイトルとは相手に記事を読んでもらうための「最初」の勝負どころ。でも、いざタイトルを付けようと思っても、なかなかパッと思い浮かばないこともあるはず。
そんな時、柿原は記事を書いている間に並行して思い浮かんだタイトルをいくつか書き出し、最後に「どのタイトルなら読者に響くのか?」と考えてから決めるそう。「最初と最後に書いたタイトルを比べると、最後に書いたタイトルの方がしっくり来る時もあります。とても難しい作業ですが、たくさん書き出して根気よく探すことが大切です」
「読まれるタイトル」ってなんだろう
では、実際にどんなタイトルがあるのでしょう?
①リズムのある 文芸的タイトル
「これはある雑誌で各地の郷土料理を紹介するページに付けられていたタイトルです。『●●を使った郷土料理』と書いてあるより、『どっしりおいしい』の方が料理のイメージが湧いて美味しさが伝わってきます」
②意味を埋め込む なるほど系タイトル
「地元の人がいつも通って美味しいと想うお店の情報が載っているんだろうな、と思わせてくれる。『オススメレストラン10選』と言われるより本当っぽさを感じます」
③共に進む 共感系タイトル
「初めて読んだ時、『そういえば、何を境目にイスラムって呼ぶんだっけ?』と思ってページをめくりました。共感を呼んで読ませるテクニックのひとつです」
④番外編 タイトル
「前回登壇していただいた中村優さんの本のタイトルです。実はこれ、おばあちゃんのレシピ集と見せかけて、レシピはひとつも載っていない。料理を通じておばあちゃんたちから教わった人生哲学を読者がスパイスとして取り入れられるように、あえて『レシピ』を加えました」
このまちの面白さを伝える
レクチャーの後は、いよいよ実践へ。まずは参加者の皆さんに自分が担当する誌面のタイトルを考えてもらいます。
「このタイトル、どうかな?」
「もっと別の言い方も出来るよね」
「どうやったらこの面白さが伝わるんだろう……」
悩みながら考える皆さんの横顔は、真剣そのもの。
ある程度タイトルが固まったら、次はラフを書きます。ここでのポイントは、テーマを軸に集めた素材を厳選し、素材のなかの優先順位を決め、インパクトと見やすさを持って配置していくこと。
参加者のなかには、会津美里町でデザインのお仕事をされているという方も! テーマは、「会津美里でいっぷく」。会津美里で一服のお供にぴったりのおやつを素敵な写真とテキストで紹介していました。
まちに詳しい人がジャンルごとにひとりいるだけで、まちのなかで共有できる情報がぐっと増える。タイトルはそんな自分たちの「好き」や「面白い」をより多くの相手に伝達するための道標になります。
文:原山幸恵(tarakusa)